「小さい後ろ姿」  大阪研修②

伊勢神宮の酸素でいっぱいになった体で、帰りの特急列車に乗り込んだ。二人用の座席に4才のお尻が挟まってぎゅうぎゅうになりながらこっくりし、少しの時間寝た。
大阪に着いたら、さて何を食べようか。アキさんは大阪へのチケットを手配したその日から滞在分、昼夜の食事の予約をせっせとしていた。 
ぺこぺこになったお腹を抱えて駅内を今日もまた迷い歩き、私と息子(H)は目の前に見つけた餃子専門店へ。

地上に出てホテルまでの道のりの'散歩'が気持ちいい。「おかあさん、お散歩たのしいね。」手をつないでいるHが嬉しそうに顔を覗き込む。
「あしたもいっぱいお散歩しようね。」
「そうだね、明日もいっぱいいっぱいお散歩するよ。」他愛のないいつもの会話、今日はなんだか温かく心に響く。ここがいつもと違う場所だからかナア。

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11月7日、晴れ。

ホテルで朝食をとり、京都行きのJRに乗る。時刻を気にしていないが目の前に乗ろうとしている列車がちょうど良く来たからそれに乗った。「いつもタイミングがいいよね。」なんて呑気に身を任せていたが、京都に着いてやっと乗る予定のものと違う事に気が付いた。
11時から京都御所の参観、11時10分前に到着。快速に乗る予定だった。
完全予約制で規則が厳しいため、諦めるしか無い、、、。

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                  広い広い御苑内をとぼとぼ。

「おかあさん、ここでおべんとたべようよー」と後ろからついてくるHの声。御苑内の芝生でお弁当を広げている親子がいる。「うん、でもお弁当持ってきてないから。」私もそうしたい、そう思いながらも歩く足が止まらない。端っこまできたところでようやく足を止め、がっかりした気持ちを整理しきれずベンチに腰掛けた。


     

   やや遠くからHの明るい声が聞こえる。



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大事にしているぬいぐるみの“くまちゃん”を
リュックから慌てて取り出しに来ると女の子に差し出した。
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木漏れ日に当たってキラキラした世界を前に私は乗り間違えて良かった、と心から思った。




しばらく遊んだ後、いい香りに誘われ御苑内にある澄んだお出汁のうどんを一緒に食事し、バイバイした。
地下鉄までの散歩道、「おかあさん!!どんぐりあるよー!」。 「またあった!」。 「ほら!ここにも!!」少し歩いて立ち止まる、そして少し歩いて立ち止まる。
その列に続いてアキさんは植物の種を摘んでいる。「育てて料理に使おうかな。」
京都で過ごす予定はいろいろあったけど、既にどのようになっても良かった。

京都の台所と呼ばれる錦市場では食材を眺めたり道具屋に寄ったり、麩まんじゅうや丹波黒豆にじゃこなんかを食べ歩き清水寺へ観光しに向かう。Hはどんぐりの実で膨らんだポケットを気にしながら大切そうに運んでいた。
一度訪れた場所に再度行くのがいいなあと思っている。
この辺りからHの手をつなごうとすると「おとうさんとつなぐ。」と先を歩くアキさんと一緒に行動する様になった。「おかあさんはあるくのがおそいから。おさきにー」笑顔で走って行き、父と手をつないだり、父の肩から提げる鞄のベルト部分を掴み、鳥の雛のように真後ろをちょこまか付いて行く。時にぶんぶん体を揺らす父に振り回されながらもケタケタおもしろがって笑いながら付いて行く。ときどき母の姿もちゃんとあるか振り返って確認し、アキさんと私の間を走り往復する。Hの後ろ姿を見る事って少なかったナア。大人の私達より細かい歩幅で自分の足に絡まりそうに歩く、小さい後ろ姿を目でずっと追っていた。

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        御所で出逢った美穂子さんからお勧めされたわらび餅のおいしいお店「洛匠」
              庭の池を泳ぐ錦鯉、見事に大きく育っていました!
           その美しい錦鯉を眺めながらお抹茶とわらび餅を仲良く分けて。


上り坂をせっせと歩き、制服姿の学生に混じりながら清水寺から景色を眺めた。
「ここが全部真っ赤になったら私、倒れてしまうかも。」
紅葉の時期には少し早い、いつかその時期にまた家族で来たいね。さっさと降りて行くHの後ろ姿だけを目で追い、また来た道を戻った。太陽も西に隠れる時間になっていた。



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                 、、、つづく
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by fenetre-blog | 2012-11-24 11:05 | 日々のこと